眩しいミドリ

角田光代作品が好きでずっとずっと読みたかった『八日目の蝉』。

文庫になるのを待っていたけれど、待てど暮らせど。

とうとうドラマにまでなってしまった。

(まっさらで読みたかったから、がまん。)

結局本屋へ出かけて行き、ハードカバーを抱えて帰り、一気に読みました。



私は、この人の文章にはいつも泣かされてしまう。

展開が上手いのだ。

もっと言うと、いくつもの伏線を丁寧に重ねて、

突如目の前が開けた時の感情や景色の色のほとばしりが

圧倒的なのだ。

圧倒されて、気持ちの揺らぎを抑えきれなくて

私はいつも、泣く。

もともと泣きたい気分だったのかもしれない。



今日の爽やかな陽気の中の眩しいミドリが嬉しかった。

心の中にある、海のきらきらが嬉しかった。

出会うべき時期にこの作品と出会えたんだと思って

嬉しかった。



これから読もうと思っている人には迷惑かもしれないけれど

一節だけ記しておきます。私が、忘れないように。

”八日目の蝉は、ほかの蝉には見られなかったものを見られるんだから”。



忘れちゃいけないよね。